関西例会開催(10月25日土曜日)のお知らせと参加登録につきまして

東南アジア学会員の皆様
以下の日程で、大阪大学箕面キャンパスにて関西例会を開催いたします。
対面でもオンラインでも参加可能です。
今回の例会は3つの研究報告から構成されています。ぜひ本メールを最後までご覧になり、各報告の内容についてご確認ください。
多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。
日時:2025年10月25日(土曜日)14時開始
場所:大阪大学箕面キャンパス(603教室)
報告者1人につき、報告40分、コメント10分、質疑応答20分です。
参加登録について
次のURL(グーグルフォーム)から参加登録をお願いいたします。
10月20日(月曜日)までにご記入ください。
当日、週末のため会場へ入るためには守衛室横を通過する必要があり、守衛室に参加者の氏名リストを事前にこちらで提出して、そこにチェックを入れて入館することになりますので、事前登録が必須です。また本企画は大阪大学地域研究フォーラム(OUFAS)と共催となっています。
オンライン参加の方には、会が近づきましてからズームの参加に必要な情報を参加登録の際に入力されたメールアドレスにお送りいたします。
また懇親会を会場近くで開催予定です。こちらについても多くの方のご参加をお待ちしております。
プログラム
第1報告(14時00分〜15時10分)
岡野英之(近畿大学総合社会学部)
コメンテーター:村上忠良(大阪大学人文学研究科)(対面でのコメント)

タイトル:国境線上のナショナリズム:タイとミャンマーにまたがる少数民族シャン人の「解放闘争」
本発表で注目するのはミャンマー内戦、中でも少数民族シャン人の政治運動である。ミャンマーの内戦は古く1948年の独立直後に始まっており、少数民族の名を冠する複数の武装勢力がその後、次々と武装蜂起することになった。その流れは現在でも続いており、独立直後に見られた民族ナショナリズムが現代にいたるまで続く数少ない事例といえる。本発表で取り上げるのはそうした内戦に巻き込まれた民族のひとつ、シャン人である。シャン人がはじめて武装蜂起したのは1958年であり、その後、シャン人の名を冠するいくつかの武装勢力が台頭してきた。その多くはタイとの国境を拠点にして活動を続けている。本発表の舞台はそうした武装勢力のひとつ「シャン統一解放軍」(Shan United Revolutionary Army: SURA)の拠点となった町ピアンルアンである。発表者は、この町にいまだに住んでいる元戦闘員であった古老や古くからピアンルアンに住む人々から話を聞くことで、いかにピアンルアンが変化をしてきたのかを聞き取ってきた。その変化を端的にいえば、シャン人武装勢力の町からタイ政府が統治する町への変化である。しかしながら、シャン人の経済活動や文化活動は色濃く残っている。この町はSURAの本拠地として機能すると同時に、シャン人の商人を引き寄せ、新たな移民をタイ側へと導いた。さらにこの町はシャン人の文化運動の拠点となった。その影響はSURAが解体された現代でも観察することができる。

第2報告(15時20分〜16時30分)
澤邉日奈太(名古屋大学人文学研究科大学院生)
コメンテーター:飯島明子(東洋文庫)(オンラインでコメント)
タイトル:15世紀におけるムアン国家チェントゥンの動向―明朝への朝貢を手掛かりにー
本発表で対象とするのは、ミャンマー東部シャン州にかつて存在した有力なムアン国家であるチェントゥンの15世紀における動向とその背景である。2025年7月にタイ学会で発表した「チェントゥンの明朝への朝貢」では、1405年に明朝が雲南南部の複数のムアンを巻き込んでラーンナー遠征を行い、それをきっかけとしてチェントゥンがラーンナーから分離したことを述べた。本発表はそれ以降の15世紀を通じたチェントゥンの動向を、中国側史料に残されたチェントゥンの朝貢記録とチェントゥンを含む周辺のムアンの残した年代記史料という二つの視点から分析する。先行研究は、14世紀にかけてのタイ族の勃興(東南アジア大陸部でのタイ族政体の成立)と16世紀半ばのタウングー朝ビルマによるシャン遠征の二つに集中しているが、15世紀の東南アジア大陸部北部では、タイ(Tai)族の複数のムアンが、それぞれがどのように国家間関係を形成していったのかという疑問が残る。本発表では15世紀におけるタイ族のムアンの政治情勢を、チェントゥンの明朝への朝貢記録を事例として明らかにする。
第3報告(16時40分〜17時50分)
刀 保媛(大阪大学人文学研究科大学院生)
コメンテーター:小島敬裕(津田塾大学)(オンラインでコメント)
タイトル:限界を越える動き―中国・徳宏タイ族刺青文化の流動性
本研究は、中国雲南省徳宏州タイ族の刺青文化が「伝承」と「流動」の間でいかに変化・再生産されているのかを明らかにすることを目的とする。博士課程期間に、徳宏州の芒市・瑞麗市を中心として、盈江県・隴川県、さらにシーサンパンナ、ミャンマー北部およびタイ北部へと調査地を広げ、断続的にフィールドワークを実施する予定である。調査地では、刺青のある/ないタイ族住民、彫り師、シャーマン、僧侶など刺青文化に関わる人々に対してインタビューを行い、村人や彫り師の自宅に滞在して参与観察も行う。身体上の図柄の配置や、国境を越える刺青実践の流動性に注目し、従来の「タイ族のイレズミ」という一元的なイメージを問い直し、より多様で動的な実践の実態を明らかにすることを目指す。
関西例会担当(岡本正明、久納源太、松村智雄)
関西例会についてのお問い合わせ先
tmatsu.hmt[atmark]osaka-u.ac.jp (松村智雄)
Close Menu