東南アジア学会 オンライン例会(11月27日)のご案内

11月のオンライン例会(従来の地方例会)は、11月27日(土)開催です。
参加ご希望の方は、11月25日(木)までに以下のフォームからご登録ください。

https://forms.gle/L8equ224LP1gKcen6

皆様のご参加をお待ちしております。会員以外のかたも歓迎します。
*オンライン(Zoomミーティング)で開催します。
*登録していただくと、ミーティング情報が自動的に返信されます。
*開催前日(26日)に、登録メールアドレス宛にミーティング情報を再送します。

日時:2021年11月27日(土)18:00〜21:20頃

企画:「現代東南アジアにおけるアーツマネジメントの諸相」

企画者:岩澤 孝子(北海道教育大学 准教授、北海道・東北地区例会担当理事)

 

*17:50〜入室開始

*18:00〜プログラム説明等

なお、本企画は発表6本と全体討論の三部で構成でされ、各セッションの間に10分間の休憩をとる。

 

【第Ⅰ部】18:00-19:00

司会:岩澤 孝子

発表1. 18:05-18:20

発表者:中川 眞(大阪市立大学 都市研究プラザ 特任教授)

発表題目:「東南アジアおよび日本におけるアーツマネジメントによる国際ネットワークの形成」

発表要旨:本発表では、2007年より日本を含むアジア諸都市(主に東南アジア)でアーツマネジメントに携わる実務家や研究者を結びその実践法や理論を共有するネットワーク形成に寄与してきたアジア・アーツマネジメント会議(AAM)と、2017年よりアートコーディネーターの育成とメコン地域の文化交流促進に活動を展開してきたメコン・カルチュラルハブ(MCH)が協働して2021年に実施したプロジェクトに関する概説を行う。本プロジェクトを通じて本企画の発表者は、タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムで活動するソーシャルアートの実務家に対するリモート調査を実施し、2021年5月の国際会議において実務家と研究者の協働発表という新たな枠組みに挑戦した。本発表ではアーツマネジメントを中心とした国際ネットワーク形成の意義について述べるが、これを前提として第3部の全体討論「ソーシャルアートを通した対話と共有」へとつなげたい。

 

発表2.18:20-18:40

発表者:南田 明美(九州大学 芸術工学研究院 特別研究員/日本学術振興会特別研究員)

発表題目:「タイ・クローントゥーイ・ディーチャンのコミュニティ音楽:こどもが社会変革者になる」

発表要旨:本研究は、バンコク最大のスラム街であるクローントゥーイ地区におけるコミュニティ音楽運動を展開するクローントゥーイ・ディーチャン(Klongtoey D-Jung、以下KTD)の事例を報告するものである。研究方法は、2021年2月から4月にかけて、計4回、各回約2時間ずつ、半構造的インタビュー調査である。こどもたちは、音楽を通して自身が面している麻薬や貧困といった「負の連鎖=リスク」から逃れ、また、コミュニティ内の個々人を結び付ける「仲介者」となっていた。さらに、自分たちのコミュニティのイメージを、音楽に乗せて変えようとしていた。本研究で主張したいことは、こどもたちが「仲介者」や「変革者」として変わっていく過程は、決して「大人」たちが一方向的に教育して、成されているのではない。こどもたち自身が、自己と他者を見つめ合い、双方向的な関係を形成しながら、自己の表現を高め、さらに人格を形成しあっていることである。

 

発表3. 18:40-19:00

発表者:谷地田 未緒(国立アイヌ民族博物館 研究学芸部 アソシエイトフェロー)

発表題目:「カンボジアの文化復興と芸術振興:カンボジア・リビング・アーツとファー・カンボジアンサーカス」

発表要旨:カンボジア・リビング・アーツ(Cambodian Living Arts: CLA)とファー・カンボジアンサーカス(Phare, the Cambodian Circus: Phare)は、カンボジアで活動する芸術系NGOである。CLAは、自身も音楽家であり幼少期に難民となったArn CHORN-PONDが、終戦後に自国の芸術を取り戻す活動として開始され、現在ではカンボジア有数の芸術支援中間組織へと成長した。一方Phareは、難民キャンプで美術や身体芸術を学んだ9人が集まり、芸術をカリキュラムに取り入れた教育機関を設立したことから活動を開始し、現在は舞台芸術や美術など複数の分野のアーティストを雇用しながら事業を実施している。本発表では、この2つのNGOを事例に、カンボジアにおける文化復興、芸術支援、芸術系NGOの役割について考察する。

 

【第Ⅱ部】19:10-20:10

司会:田代 亜紀子(北海道大学 メディア・コミュニケーション研究院 准教授)

 

発表4. 19:10-19:30

発表者:岩澤 孝子

発表題目:「ラオスにおける映像制作プログラム:@My Libraryによる学びと創造のプロセス」

発表要旨:ラオス北部のルアンプラバーンに非営利のコミュニティ・ライブラリー「@My Library」(2003年設立)がある。地域コミュニティのためのラーニング・センターとしても機能するこのスペースでは、通常の図書館事業の他に2012年から毎年「映像制作プログラム」を実施している。参加者は5週間に及ぶ集中講座を通じて短編映像作品を制作し、その過程で映像制作にまつわる基礎的知識や必要な技術を身につける。参加者が制作した作品の中には国際フィルム・フェスティバルでの受賞作品もあり、作品の評価も高い。ラオスにおける映画産業は未成熟の分野であることから、@My Libraryが目指す「ラオス人のためのラオス人によるラオ語での映像制作プログラム」は画期的な試みと言える。本発表では、関係者に対するオンライン・インタビューデータを中心に@My Libraryによる実践を明らかにするとともに、作品の傾向を分析する。

 

発表5. 19:30-19:50

発表者:長津 結一郎(九州大学 芸術工学研究院 助教)

発表題目:「ミャンマーにおける芸術家コミュニティ:平和の詩の朗読フェスティバル(Peace Poetry Recitation Festival)を中心に」

発表要旨:ミャンマーは、2021年の軍事クーデターを原因として、再び流動的な政治状況に置かれている。平和の詩の朗読フェスティバル(Peace Poetry Recitation Festival)は、ミャンマーの中部、マンダレー地方域に位置するバガンの旧市街の川べりで2012年より開催されている。運営組織も流動的で、参加者同士がほぼ手弁当で集まりながら、詩を朗読するのを聞き合い、平和について語り合うフェスティバルである。ここに集う表現者たちの多くも、今回のクーデターに翻弄されつつ、表現活動をそれぞれの形で継続しようとしているという現状がある。本発表ではフェスティバルの概要や、ミャンマーにおける政治的展開との関係性について、関係者へのインタビューや資料収集をもとに概説する。また、クーデター以後の表現者たちの活動にも触れながら、安全・安心が脅かされる真っ只中にある芸術表現のあり方について考察する。

 

発表6. 19:50-20:10

発表者:武藤 大祐(群馬県立女子大学 文学部 准教授)

発表題目:「ハノイにおける遊び場の創出:Think Playgroundsの取り組み」

発表要旨:世界の大都市において、人口過密や社会構造の変化により、子供たちが思い切り体を動かし、自由に遊ぶことのできる空間は少なくなっている。こうした問題の解決に向けて取り組む団体は世界各地に存在し、ヴェトナムのハノイに拠点を置くThink Playgrounds(TP)もその一つである。TPは2014年に有志団体として発足し、2016年に社会的企業(Social Enterprise)としての資格を得て、これまで200以上の遊び場を作り出してきた。彼らの特徴は、クライアントからの受注を受けた営利事業と、国内外の財団などから助成を受けた非営利事業を並行させる運営形態にある。背景には、社会問題の解決に取り組むNPOやNGOといった公益団体の活動に対してヴェトナム政府が積極的でないという事情が働いているが、その反面、営利事業と非営利事業を往還することのメリットも少なくない。本稿では、TPが地域住民やマスメディアと交渉しながら、創意に富んだアプローチで遊び場作りを展開している様子を考察する。

 

【第Ⅲ部】20:20-21:20

全体討論「ソーシャルアートを通した対話と共有」

(※質疑応答を含む)

司会:中川

登壇者:岩澤、長津、南田、武藤、谷地田

 

ご不明な点がありましたら、岩澤までご連絡ください。
岩澤 孝子 e-mail:kakako0777 [at] hotmail.com  ←[at]は@に変換

東南アジア学会地区理事

岩澤孝子、小座野八光、篠崎香織、菅原由美、菅谷成子、丸井雅子

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