3月23日関西地区例会のお知らせ

2019年3月23日(土)に開催いたします東南アジア学会関西地区例会につきまして、

以下の通りお知らせいたします。オープンな会ですのでご自由にご参加ください。

なお事前登録などの手続きはありません。

日時:3月23日(土)14:00-17:15
場所: 京都大学吉田本部構内 総合研究2号館4階大会議室(AA447)

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r_y/

第一報告(14:00-15:00)

発表者:上原健太郎(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
発表題目:現代ブルネイにおける銀行業の展開とその役割

発表要旨:本報告では、ブルネイ・ダルサラーム(以下ブルネイ)の銀行業への考察を通じて、経済政策におけるその役割を明らかにする。ブルネイはヴィジョン2035のもと、現在まで続く石油・天然ガス産業中心の経済構造を多様化させ、新たな産業を振興させようとしている。その意味で戦略産業として、あるいは実体経済の成長に必要な資金を供給する存在として銀行業の役割は大きい。一方、同国の金融業と経済多様化に関する従来の研究では、主に政府系ファンドの役割に目が向けられていた。しかし、そこでは資料上の制限から通時的な分析が十分に行われていない。本報告では、銀行業の内でも比較的資料にアクセスしやすい政府系商業銀行に着目して以下の問いに答えていく。それは、当該銀行が➀どのように形成・確立されるようになったのか、②開発計画において担う役割とは何か、③なぜ融資先の部門別割合を変容させてきたのかである。これらの考察を通じてブルネイの経済政策における銀行業の役割を明らかにしたい。

第二報告(15:00-16:00)

発表者:中野真備(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
発表題目:インドネシア・バンガイ諸島のサマ人の外洋漁撈と空間認識

発表要旨: サマ人研究はこれまでサンゴ礁域を中心に行われてきたため、そこの漁撈活動や環境認識がサマ人全体の典型例のように扱われてきた。本研究ではサンゴ礁のないバンガイ諸島のサマ人を対象として、これまで報告されてこなかった外洋漁撈の実態と空間認識について検討する。漁撈活動については,外洋で回遊性資源なども狙う小規模な釣り漁をおこなう特徴があった。海の空間分類からは、局所的に認識の密度が濃くなるスポット的理解をしていることが明らかとなった。全体として空間は「陸的」、「海的」、「道的」に分けられることが示唆された。また,サンゴ礁域のサマ人の「面的」理解と比べ、より三次元的な理解をしていると考えられる。

第三報告(16:15-17:15)

発表者:井上航(国立民族学博物館)

発表題目:ブラウ・クルン語の擬音語・擬態語、たたみかける複合語―身体性に注目して―

発表要旨:報告者はカンボジアの少数民族であり、モン・クメール系言語を話す東南アジア大陸部の山地民であるクルンの村落で調査を行っている。これまで音と身体と環境のかかわりをテーマに民族音楽学の枠組を意識して研究を進めてきたが、最近はブラウ・クルン語の擬音語・擬態語に関心をもっている。それが音・身体・環境の問題の延長上にあり、また、歌や詩に通じるような審美的描写やリズムをはらんでいるためである。基礎的な言語学の学習を含め、問題の適切な把握に向けて目下取り組んでいる。本発表では二つを試みたい。第一に、モン・クメール系言語に主に注目してであるが、東南アジア諸言語において擬音語・擬態語に関連する研究がどのようになされ、近年では何が課題とされているかを整理する。二項的複合語(binomials)、多項的複合語(multinomials)との関連が重要とみられる。第二に、報告者の現時点の調査結果を具体的に示す。擬音語・擬態語だけでなく、二項的・多項的複合語を多用する談話「ポンダプポンガプ」(「たたみかける言葉」「言葉重ね」のようなニュアンス)についても報告する。

東南アジア学会・関西地区例会担当

小林知、伊賀司、ピヤダー・ションラオーン、吉川和希、西島薫

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