東南アジア学会員の皆様、
第3回関西例会のお知らせです。2026年1月31日に以下の要領で開催します。ハイブリッド形式で行いたいと思います。ご関心のある方はぜひ、ご参加ください。懇親会も予定しています。オンライン参加希望の方はメールでご連絡ください。リンクをお知らせさせていただきます。
連絡先:例会担当 reikai31-sea[atmark]ml.rikkyo.ac.jp
日時:2016年1月31日(土)午後3時半〜午後6時
場所:京都大学東南アジア地域研究研究所・稲盛財団記念館2階セミナー室(I213)(当日は建物正面入口が施錠されています。南東端にある裏口からお入りください。)
第1発表:午後3時半〜午後4時40分
発表者:黄蘊(尚絅大学)
発表タイトル:宗教実践からみるベトナム華人と国家:仏教とキリスト教団体からの考察
コメンテーター:土屋敦子
第2発表:午後4時50分〜午後6時
発表者:続木梨愛(京都大学)
発表タイトル:ラオス農村部におけるミツバチのドメスティケーションと開発支援:シェンクワン県の養蜂実践の事例から
コメンテーター:横山智(名古屋大学)
第1発表の要旨:
ベトナムの華人に関しては、これまでクレオール化や、同化などその存在が非顕在的という視点の研究が多かった。しかし、華人住民が最も集中的に居住するホーチミンの華人カトリック教会やプロテスタント教会、もしくは華人仏教寺院、民間信仰(教団)施設の活動に向けると、経典の使用言語、儀礼用言語、宗教世界観などにおいてはベトナム語併用の局面・ベトナム的要素も多いものの、華人による宗教実践が展開されていることが確認される。その背後にある要素としては複合的なものがあるが、複数の聞き取り調査からは一時的厳しかったといわれる対華人文化/教育政策が1990年代以後徐々に緩くなり、華文教育存続の抜け道も様々にあったことが浮かび上がる。他方で、マレーシア、シンガポールなど華人がわりと「みえる化」している地域とは異なり、ベトナム華人で中国語(華語)のできる人はほぼ一様にベトナム語とのバイリンガルかベトナム語が母語であるため、特定の局面でないと、華人としての一面が浮かび上がってこないことも多い。これはベトナム華人の「みえない化」の重要な理由と考えられないだろうか。
本発表はホーチミン市のいくつかの華人キリスト教教会、仏教寺院の歴史的変遷、現在の活動について考察すると同時に、華文語学センターなどこれまでの華文教育展開の仕方・現状についても併せて考え、なぜ華人による宗教実践が維持されているのかについて分析を試みる。本発表ではこうした分析を通して、ベトナム華人と国家との関係性、今日における華人の存在の仕方についての一考察を提示してみたい。
第2発表の要旨:
本発表は、ラオス北部シェンクワン県ペック群における養蜂支援事業を事例に、開発支援が地域社会の生業実践およびミツバチのドメスティケーションにどのような影響を及ぼしているのかを検討するものである。近年、同地域では国際NGOを中心に、蜂蜜生産による生計向上を目的とした養蜂技術の導入が10年以上にわたり進められてきた。とりわけ不発弾の影響を受けた住民の生活支援として、技術指導や巣箱の提供が行われている。しかし、住民の養蜂実践は新技術の一方向的な受容にとどまらず、既存の丸洞式巣箱と日本式巣箱を状況に応じて使い分けるなど、多様で柔軟な形態を見せている。本研究は、2024年8月から12ヶ月間にわたる参与観察、NGO関係者や住民へのインタビュー、過去の開発事業の資料調査を通して、こうした技術選択の背後にある政治経済的条件を明らかにすることを目的とする。支援を担う国際NGOと、事業を仲介するラオス人公務員、そして住民それぞれの思惑が交錯する中で、ミツバチの家畜化が単一の方向ではなく複数のプロセスとして生じているさまを、事例から提示する。