白山人類学研究会のご案内(6/26)

白山人類学研究会 2023年度第3回定例研究会についてのお知らせです。
今回は、昨年ドイツで開催された国際現代芸術祭ドクメンタ15に関するご発表ですが、インドネシアのアート・コレクティブがキュレーターを務めたことでも注目を集めました。
東南アジア学会会員の皆様にもぜひご参加いただきたく、下記の通りご案内いたします。
□日時 2023年6月26日(月)18:15~
 対面開催と、Webexを使用したオンライン開催とを併用いたします。
 参加ご希望の方は以下のフォームからご登録ください。
 アクセス用のリンクについては、例会前日までにご連絡差し上げます。
 開始の5~10分前にログインしてください。
□発表題目
現代におけるアート現象の人類学的考察――2022年国際現代芸術祭ドクメンタ15の調査を踏まえて
□発表者
青木恵理子(龍谷大学)
□要旨
1990年頃からアート現象の世界的隆盛が見られる。アートに関する国家の政策や国際機関による開発計画が推進され、ビエンナーレやトリエンナーレなどの展覧会が世界的に進展をみせている。日本では過疎地において行政主導のアート祭が観光促進の資源とされるようになった。アート市場が世界的活況を呈するなか、他方では、社会的なつながりや社会改革にかかわる社会志向のアート活動が推進されている。また、漫画、アニメ、ファッションへとアート領域が拡大されると同時に、アートとは無縁だった科学、教育、福祉、医療、ビジネスの現場でもアート化と呼ばれる現象が起こっている。
 なぜ1990年か?冷戦の終結とともに、世界がほぼ自由主義経済化したことにより、アート市場とアートに関する消費文化が拡大したことが指摘できよう。また、100年近くの間世界革新のために寄せられていた社会主義イデオロギーへの期待が、人々の間で急速に縮小したこととも関係するだろう。社会志向のアートはそこに登場する。一方人類学の大きな流れに目をやれば、20世紀半ば以降主流であった言語記号論に基礎を置いた研究を越えて、モノ、エージェンシー、身体、感覚etcへと模索を広げてゆく過程を背景に、アルフレッド・ジェルが、人類学におけるアート研究上画期的ともいえる論文を発表した1992年が、アート隆盛と年代的に符合するのは、偶然とは言えないだろう。
 本発表は、ジェル同様発表者も歴史的現在の影響のなかにあることを自覚しつつ、2022年開催の国際現代芸術祭ドクメンタ15での短期調査を踏まえて、現代におけるアート現象の一端を考察する。ドクメンタ15や現代アートに関しては美術批評家などによる膨大な数の記録、コメント、分析がなされているが、それらをできるだけ踏まえながらも、現場に参与することによって得られた経験を丁寧に振り返ることで、考察を深めることをめざしたい。

++++白山人類学研究会+++++

112-8606 東京都文京区白山5-28-20
東洋大学社会学部長津一史研究室内
白山人類学研究会
hakusanjinrui[a]gmail.com
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