東南アジア学会オンライン例会6月のお知らせ

ご連絡が遅くなりまして、申し訳ありません。
6月のオンライン例会(従来の地方例会)を、6月11日(土)開催いたします。参加ご希望の方は、6月10日(金)正午までに以下のフォームからご登録ください。

皆様のご参加をお待ちしております。会員以外のかたも歓迎します。
*オンライン(Zoomミーティング)で開催します。
*登録していただくと、ミーティング情報が自動的に返信されます。
*開催前日(10日)に、登録メールアドレス宛にミーティング情報を再送します。

https://forms.gle/mttfNb4YMYcBKKWS7

日時:6月11日(土)13:00-16:45頃

*12:50〜 入室開始
*13:00〜 プログラム説明等

*第一報告 (13:05-14:35) *
発表 13:05-13:45
発表者:小林寧子(南山大学客員研究員)
発表題目:「1920年代ムハマディヤの組織拡大とファフロディン」

発表要旨:
インドネシアのイスラーム改革派団体ムハマディヤ(1912年結成)は、独立前の最大のブミプトラ(インドネシア人)団体であり、現在に至るまで発展し続けるというレジリエンスを示している。その植民地期の発展過程についてはAlfian(1989)が大枠を示したものの、どのようにして組織を拡大させて継続性を保ったのかについての詳細は明らかにされていない。結成時ムハマディヤはその活動範囲をジョクジャカルタ理事州内に限定されており、目立たない存在であった。しかしながら、1920年代初頭に組織活動を展開させる態勢を整え、植民地政府からも東インド(インドネシア)全域で活動することを許可された。当初はイスラーム同盟と協同関係を築いたが、亀裂が生じて連携は破綻した。しかし、単独で全国展開への道を切り開いた。

本報告では、創設者ダフランの没後に実質的に組織の司令塔であった筆頭副会長ファフロディンに焦点を当て、1920年代のムハマディヤがどのようにして組織を構築していったのか、またプルグラカン時代の他組織とどのように関わったのかを明らかにする。従来の研究ではファフロディンはイスラーム同盟とムハマディヤをつないだ活動家として必ず登場するものの、その人物像についてはまだ掘り下げられていない。

主な資料とするのは、Soeara Moehammadijah(ムハマディヤ機関誌)とBintang
Islam(ファフロディンが編集長を務めた情報誌)である。このふたつは当時のムハマディヤの動向を知るのに重要であるにもかかわらず、先行研究ではまだそれほど用いられていない。

休憩 13:45-13:55
コメント 13:55-14:05 佐々木拓雄氏(久留米大学)
質疑応答 14:05-14:35

*第二報告 (14:45-16:15) *
発表 14:45-15:25
発表者:神内陽子(元名古屋大学大学院)
発表題目:「ポスト・スハルト期インドネシアにおける少年司法改革の展開: 少年刑事司法制度法(SPPA法)の法案審議議事録の分析から(仮)」

発表要旨:
インドネシアでは1997年の少年裁判所法により、独立以降初めて、非行少年に対する特別な司法の枠組みが定められた。しかし少年裁判所法は基本的に成人と同じ手続きを少年事件に適用するものであり、拘禁の多用や犯罪者としてのスティグマによる更生の困難といった従来の諸問題を解決するには至らなかった。そうした中で画期となったのが、ポスト・スハルト期における児童保護制度改革の流れを受けて2012年に制定された少年刑事司法制度法(以下、SPPA法)である。SPPA法の最大の特徴は、①自由の剥奪は最終手段とすべきという理念の下、少年事件の解決に修復的司法にもとづくダイバージョン(通常の裁判手続きからの離脱)の原則を導入したこと、そして、②そのプロセスはアダットにもとづく意思決定法としてのムシャワラ(合議)を通して行われるとしたこと、にある。発表者はこれまで、SPPA法施行下の少年司法の実態について現地調査を行い、本法が少年処遇の現場に大きな変化をもたらしていることを明らかにしてきた。本発表ではSPPA法の法案審議議事録を分析し、本法が「インドネシア版修復的司法」としてムシャワラの概念を採用することにより、揉め事の解決法をめぐる地域的多様性を評価しつつ、それらを共通の目的をもつものとして国家法および国際準則の中に位置づけようとするものであったこと、また本法による少年司法改革が、長期的には刑事司法制度全体の改革の端緒として位置づけられ、さらにはアダット法社会の機能の再生・強化につながるものと期待されていたことを示す。

休憩 15:25-15:35
コメント 15:35-15:45 荒井真希子氏(JICA緒方貞子平和開発研究所・研究員)
質疑応答 15:45-16:15

*アフターセッション(16:15-16:45頃)*

ご不明な点がありましたら、菅原までご連絡ください。

東南アジア学会地区理事
岩澤孝子、小座野八光、篠崎香織、菅原由美、菅谷成子、丸井雅子


菅原 由美
大阪大学大学院人文学研究科

〒562-8678

箕面市船場東3-5-10

TEL/FAX 072-730-5270
y.sugahara.hm[at]osaka-u.ac.jp

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