4月27日(土)関西地区例会のお知らせ

2019年4月27日(土)開催の東南アジア学会関西地区例会につきまして、以下の通りお知らせいたします。

今回は海域アジア史研究会との共催です。多くの方の御来場をお待ちしております。

日時:4月27日(土)14:00-17:15
会場:大阪大学豊中キャンパス文法経済学部本館2階

大会議室アクセス:http://www.let.osaka-u.ac.jp/ja/access

※豊中キャンパスマップ④の逆向き「コの字」型建物が会場のある建物です(大会議室は左上隅に位置します)。大会議室には、③の総合図書館側の入口から入って、右手の階段をあがり、廊下を右側にお進みください。階段手前の右側の部屋が会場の大会議室です。共催:海域アジア史研究会

第一報告(14:00-15:30)

発表者:鄭美景(花園大学大学院文学研究科博士後期課程)
発表題目:近代ベトナムにおける禅宗寺院の経典について―東南アジア地域研究研究所所蔵の在泰京越南寺景福寺所蔵漢籍を中心に―

発表要旨:
本発表では、東南アジア地域研究研究所所蔵の在泰京越南寺院景福寺所蔵漢籍の分析を通して、ベトナム、および日本、中国、韓国の大乗仏教文化圏における近代仏教経典のもつ特徴を述べる。近代大乗仏教文化圏では、衰退していた仏教が、カトリック、キリスト教といった宗教を含む西欧列強勢力の進出以来、仏教復興運動がある程度成功をおさめており、旧景福寺所蔵漢籍は重要な一例であると言える。例えば、漢喃の六八体長編詩の形態を整えた『阿弥陀経』をはじめ、『釈氏源流』、『報恩経』、『六祖壇経』などは、当時の中国や韓国で見られる禅浄一致や、儒教的性格を表している。この字喃というベトナム独自の表音文字は、日本の仮名、韓国のハングルのように近代的教育の導入により仏教運動の大衆化に貢献した。さらに、バンコクの華僑地区にある景福寺の地政学的位置からも、印刷技術の発達による経典の輸入や、編纂、そして近代仏教学の受容などが見え、大乗仏教文化圏の相互交流の流れも窺える。

第二報告(15:45-17:15)
発表者:上砂考廣(大阪大学大学院国際公共政策研究科博士後期課程)
発表題目:東ティモール レネティルの抵抗運動―紛争下におけるナショナリズムの機能に関する一考察―

発表要旨:本研究は、東ティモール独立紛争のおける「新世代」(Geração Foun)と呼ばれる東ティモール人の若者たちの抵抗運動に焦点を当てて、紛争下におけるナショナリズムの新たな機能を明らかにする。1990年代インドネシアにおいて当該国の民主化運動と東ティモール独立運動が連携し、共同デモを展開するという現象が見られた。少なくとも1990年代に入るまでは全く異なる運動として理解されてきたインドネシア民主化運動と東ティモール独立運動という異なるナショナリストの運動が、1990年代に入り連携するようになったのはなぜか? 東ティモール及びジャカルタでの現地調査を基に、東ティモール人たちの地下抵抗組織レネティル(RENETIL)がインドネシア本土で展開した思想運動「東ティモール独立紛争のインドネシア化」を分析することで、東ティモールの若者たちがインドネシア人とは異なるネイションを志向しながらも、彼らと共通の政治空間を創出したことを論じる。

東南アジア学会関西例会委員
小林知、伊賀司、ピヤダー・ションラオーン、西島薫、吉川和希

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