シンポジウム「移動と共生~先史時代から近未来宇宙まで~」のお知らせ(3月18日)

3月18日(月)に名古屋大学で開催されますシンポジウムのお知らせをさせていただきます。
本シンポジウムは、「移動と共生」をテーマとした学際的共同研究の一環で、京都大学の木村大治先生と、認知考古学がご専門の岡山大学の松本直子先生のお二人にお話しいただきます。コメンテーターは、科学哲学がご専門の戸田山和久先生です。
どなたでも自由に参加できるオープンなシンポジウムです。事前の手続は必要ありません。どうぞ皆さまのご来場をお待ちしております。

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*シンポジウム「移動と共生 ~先史時代から近未来宇宙まで~」*

*趣旨*
グローバルな政治経済システムのなかで、人の移動・越境・流動化が日常的になっている現在、かつては出会うこともなかったような他者と出会う機会は格段に増え、「多文化共生」という言葉がますます身近になっている。しかし、「共生」という言葉は目指すべき理念や倫理として提示されることが多い一方、実にさまざまな対象に対して様々なレベルで用いられており、どのような関係・状態を指して共生と呼ぶのか明らかとはいいがたい。本シンポジウムでは、現代社会における共生のあり方を考えるヒントとして、(普遍的倫理ではなく)様々な時代や地域における多様な「共生の文化」に学ぶことを目的としている。考古学・人類学・科学哲学といった異なるフィールドから、移動と共生を考える。

日時:2019年3月18日(月)13:00-17:00
会場:名古屋大学アジア法交流館2階アジアコミュニティーフォーラム
〒464-8601 名古屋市千種区不老町
先着順 申し込み不要 無料

プログラム
13:00-13:20 趣旨説明・講師紹介
13:20-14:35 *発表① **松本 直子・岡山大学教授*
* 「共生の考古学―異文化接触と文化の生成―」*
14:35-14:50 休憩
14:50-16:05  *発表② **木村 大治・京都大学教授*
*「共生と共在:トムとジェリーはなぜ仲良く喧嘩できるのか」*
16:05-16:45 コメンテーター・戸田山 和久(名古屋大学教授)のコメント・討論

【要旨】
*「共生の考古学―異文化接触と文化の生成―」松本 直子・岡山大学教授*
2006年に大阪で開催された世界考古学会議中間会議のテーマは「共生の考古学」であった。文化や伝統、アイデンティティを異にする人々がいかに共生してきたかと考えるとともに、過去の文化遺産と現代社会に住む私たちがいかに共生し、未来に残していくか、という視点も含めて活発な議論がなされた。文化の共生、異文化接触、文化の生成という問題について、考古学は近代国家の影響を受けない集団間関係や文化の動態について長期的な視座で検討することができるという特性がある。そこから見えてくる共生の在り方について、日本列島の事例に触れつつ紹介したい。

*「共生と共在:トムとジェリーはなぜ仲良く喧嘩できるのか」木村 大治・京都大学教授*
私は2003年に「共在感覚」という本を書き,アフリカの農耕民ボンガンドと狩猟採集民バカ・ピグミーの相互行為のありさまを分析した。本発表では,そこで用いた「共在co-presence」という用語と,本シンポジウムのテーマである「共生co-existence」とを対比しつつ議論を進めてみたい。「共生」にはつねに,それがある種の「良きこと」であり「望ましいもの」であるといった感覚が付随しているように思われる。それに対して「共在」は,(書いた本人のつもりしては)「無視する」とか「争う」といった状態をも含む,より中性的なものである。発表ではこの違いについて,上記のボンガンドとバカの事例を含むいくつかのエスノグラフィー,SFにおける異星人とのファースト・コンタクトの例,さらに副題に記した「トムとジェリー」の話などを参照しつつ考察する。

【主催】名古屋大学人文学研究科
【共催】名古屋大学高等研究院
中部人類学談話会(日本文化人類学会中部地区研究懇談会)
【支援】平成 30 年度名古屋大学人文学研究科プロジェクト経費共同研究「移動と共生のグローバルスタディーズ」
【問合せ先】horieアットマークlit.nagoya-u.ac.jp(堀江未央)または ichiaki5アットマークlit.nagoya-u.ac.jp(市川彰)

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