北海道・東北地区例会開催のご案内:「東南アジア研究における学術誌の意義を考える」(11月30日(日)@山形&ハイブリッド開催)第2報

東南アジア学会会員のみなさま

下記のとおり、北海道・東北地区例会を開催いたします。多くの皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

※10月23日にご案内済みですが、プログラムに一部改訂がございます。
==============

「東南アジア研究における学術誌の意義を考える」

開催日時:2025年11月30日(日)13:30 – 15:30

場所:やまがたクリエイティブシティセンターQ1(貸会議室[StudioQ-A])

アクセス:https://yamagata-q1.com/access/

 

趣旨:学術誌は研究成果の発信と学術的対話の基盤であり、デジタル化やオープンアクセスの進展により多様なアクセスが可能になった。特に東南アジア研究では、日本語や欧文、現地語を含む学術誌の活用が重要であり、デジタル化の遅れが課題となっている。本例会では、研究者が求める学術誌の評価と今後の方向性を考察する。

  • 設樂成実氏は、コアジャーナルや研究者アンケートの分析を通じ、過去15年の出版動向と持続可能な出版のあり方を論じます。
  • 若曽根了太氏は、タイ在住研究者としてタイの学術評価システムと日本の学術誌投稿への意義と課題について提言します。
  • 土佐美菜実氏は、インドネシア刊行誌を中心に電子化・オープンアクセス化の進展を精査し、図書館の役割を再考します。

三報告を通じ、「出版」「研究者」「図書館」の視点を交差させ、「東南アジア研究者が求める学術誌とはいかなるものか」という問いを起点に、その評価や活用の在り方を明らかにし、今後の学術誌の将来像を考察する。

事前申込(特にオンライン参加は申込必須)です。

参加を希望される方は、参加方法に応じて下記の申込フォームよりお申込みください。

登録フォーム:https://forms.gle/QxoEMPoRv6WLwYR56

会場での対面参加の場合も、当日参加は可能ですが、できるだけ事前申込にご協力ください。

【申し込み締切:2025年11月23日】
プログラム:

 

13:30 – 13:40

開会挨拶 今村真央(山形大学)

趣旨説明 木谷公哉(京都大学)

13:40 – 14:40 発表(各発表20分)

 

発表①13:40 – 14:00

「東南アジア研究におけるジャーナル出版の現状と展望―東南アジア逐次刊行物総合目録データベースの収録誌のアップデートと分析を基に―」設楽成実(京都大学)

本発表では、2011年に公開された「東南アジア逐次刊行物総合目録データベース」に収録されたコアジャーナルをもとに、今回新たに行う研究者へのアンケート調査を踏まえ、東南アジア研究を行う研究者が重視するジャーナルをリスト化し、それらの特性の分析(言語、出版国、出版者、OA化等)およびアンケートの回答をもとに研究者がどのような視点からジャーナルを評価しているかを明らかにする。また、この結果を踏まえジャーナルの持続可能な出版にはどのような取組が必要か、学術出版をめぐる国内外の動向を踏まえ編集事務を行う立場より検討を行う。

 

発表② 14:00 – 14:20

「海外からの日本へのジャーナル投稿:タイの学術環境と評価システムから見た意義と課題」若曽根了太(チェンマイ大学)

本発表では、タイの学術環境を紹介するとともに、タイ在住日本人研究者の経験から、日本のジャーナルがタイで適切に評価される仕組みを提言する。タイでは、電子ジャーナルデータベースThai Journals Online(ThaiJO)と学術誌引用索引Thai-Journal Citation Index(TCI)が統一的な学術環境を支えている。TCIはジャーナルをTier 1から3にランク付けし、大学での評価にはTier 1掲載が重要な指針となる。この環境は報告者が所属するチェンマイ大学の日本研究分野も例外ではない。タイ人日本研究者やタイ在住日本人研究者は、タイのTier 1ジャーナルを最優先せざるを得ず、日本のジャーナルへの投稿は後回しとなる。その結果、日本への発表機会は限定され、研究成果の乖離が広がる傾向にある。ただし、報告者が今年投稿した日本のジャーナルは、チェンマイ大学で「国外有力雑誌」として認定され、柔軟な相互理解の可能性を示している。今後、日本の主要ジャーナルがタイのTCIで「Tier 1相当」として認定される仕組みが整えば、海外在住研究者の可能性を広げ、研究交流の深化に大きな意義をもつであろう。

 

発表③ 14:20 – 14:40

「『コア・ジャーナル』再考―インドネシアのジャーナル動向を事例に―」土佐美菜実(京都大学)

多様な資料が各地の図書館に分散しているなか、効率的な収集・保存・利用のために所蔵情報の共有は不可欠である。特に東南アジア諸語の逐次刊行物は現地情勢の影響により継続的収集が難しいうえに、情報共有が課題となっていきた。こうした背景から、東南アジア研究に不可欠な学術雑誌として「コア・ジャーナル」432点が15年前に選定された。本研究では、急速に変化する東南アジアの情報発信の在り方や現地情勢を踏まえ、図書館の視点から「コア・ジャーナル」の再評価と更新の可能性を検証していきたい。なかでも、インドネシアは電子化・オープンアクセス化が顕著であり、政府による認定制度や評価指標を提供するデータベース構築も進んでいる。こうした事情を勘案しながら、インドネシアで刊行された「コア・ジャーナル」61点に関する現在の情報(刊行状況、電子版の有無、インドネシア国内での評価など)を精査する。これらの情報に基づき、収集・保存・利用を高める目的から「コア・ジャーナル」を再選定する意義について考察する。

 

14:40 – 15:55 コメント

原田 隆(東京科学大学)、佐久間 香子(東北学院大学)、天野 絵里子(京都大学)

 

ディスカッション 14:55 – 15:30

==============

 

主催:東南アジア学会北海道・東北地区:今村真央、佐久間香子、田代亜紀子、西川 慧
【問い合わせ】北海道・東北地区理事 今村真央 imamuramasao[atmark]gmail.com

 

共催: 科研費基盤研究(C)「東南アジア地域研究のコアジャーナルを共有する機関横断型プラットフォーム構築の研究」(24K15653)

(研究代表: 木谷公哉 京都大学東南アジア地域研究研究所)

 

Close Menu