東南アジア学会会員各位
東南アジア各地での大規模豪雨災害を受けて12月24日に研究集会をオンライン開催するはこびとなりましたのでご案内さしあげます。各国の被災と対応の状況を共有したうえで、ここ数十年の災害対応の制度化と実践の経験を振り返り、東南アジアにおける社会の強さについて考えます。ふるってご参加ください。
東南アジア学会研究集会
2025年東南アジア豪雨災害から考える社会のレジリエンス
●日時:2025年12月24日(水)午後1時半~午後4時
●オンライン:右記より参加登録してください https://u.kyoto-u.jp/ufbri
●趣旨
2025年末、東南アジア各地で豪雨による被害が深刻になっています。ベトナム中部での記録的な洪水、フィリピンにおける地震と台風の連続した被害、そしてタイ南部、マレーシア北部、インドネシア・スマトラ島に広がった豪雨災害が重なり、東南アジアは深刻な自然災害の連鎖に直面しています。
東南アジアの国々では、2004年のインド洋地震・大津波やその後の大規模自然災害の経験を経て、防災・減災に関わる制度整備や教育・啓蒙活動などが進められてきました。しかし、2025年の豪雨災害に対する避難や救援の状況は、こうした制度にもとづく災害対応が十分に機能していないことを示しています。政府による救援活動が不十分なだけでなく、地域や民間による救援活動は相互の連携や調整を欠いたまま展開され、多くの被災者が救援の届かない状況に置かれています。
東南アジアは、伝統的に国家に対する社会の自律性が高く、それが社会のレジリエンスを支えていると考えられてきました。しかし、救援の前提となる輸送・電気・通信といったインフラの被害が広域に及ぶ災害では、国家の対応の不足を埋めようとする社会の自律性の高さが、たとえば、被災者が個別に被災状況を発信して外部に支援を求めた結果、発信力の劣る被災者に十分な支援が届かず取り残されてしまうというように、むしろ新たな脆弱性として表れているとの指摘も見られます。
本研究集会では、各国の被災と対応の状況を共有したうえで、ここ数十年の災害対応の制度化と実践の経験を振り返り、東南アジアにおける社会の強さについて考えてみたいと思います。
●プログラム
・司会 山本博之(京都大学)
・趣旨説明 西芳実(京都大学)
【第一部】各国・地域の被災と対応
・ミャンマーの事例 大津山堅介(東京大学)
・フィリピンの事例 調整中
・インドネシアの事例 ユディル・オンフィニ(京都大学)
・タイの事例 ピヤダー・ションラオーン(天理大学)
【第二部】災害対応から考える東南アジアの社会のレジリエンス
・話題提供 西芳実
・討論者 日下渉(東京外国語大学)
・討論者 遠藤環(早稲田大学)
西芳実