日本マレーシア学会(JAMS)11月例会(11月6日18時)

東南アジア学会会員の皆様

日本マレーシア学会(JAMS)11月例会のご案内です。

下記の要領でZoomにて11月JAMS例会を開催いたします。
今回は京都大学大学院の練言漢氏に、半島部マレーシアの華人新村をテーマとしたご報告をいただきます。討論者として神奈川大学の村井寛志先生をお迎えいたします。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

伊賀司(JAMS例会担当)


 

報告者:練言漢(京都大学大学院)

日時:2025年11月6日18時

タイトル:半島部マレーシアの華人新村における社区営造―社会運動論の視点から

要旨:本研究の目的は二つある。一つ目は半島部マレーシアの新村(New Village)における住民主体の社区営造(コミュニティづくり)の実践に着目し、国家主導に依存せず、民族/エスニック・アイデンティティを相対化しうる、より包摂的な地域アイデンティティ形成の可能性を提示することである。二つ目は、外来の概念である「社区営造」がいかに新村で一つの現象として定着したのかを新村という環境の歴史的文脈の中で検討し、さらにマレーシアにおける社区営造の比較対象として台湾における社区営造と比較する。そうすることで、新村ひいてはマレーシアにおける地域社会の権力関係、国家と住民の関係、および民族境界を含む社会構造をより多層的に理解することを目指す。本研究では社会運動論の視点からマレーシアの新村における社区営造をとらえ、より適切にマレーシアにおける社区営造を把握することができる。

1948 年のマラヤ非常事態を契機に計画された新村は、共産勢力の封じ込めを目的として華人住民を対象に設けられたものであり、長らく「華人新村」として固定的に理解されてきた。しかし近年、一部の新村では、住民による自律的なコミュニティ・ミュージアムやコミュニティ空間の運営を通じた社区営造の取り組みが展開されており、国家主導モデルとは異なる地域社会の形成が進展しつつある。

本研究は、ジョホール州Kelapa Sawit新村に位置するP320社区空間 (Ruang Komuniti P320) をフィールドとし、その運営者へのインタビュー調査を中心に据える。あわせて、村民のオーラルヒストリーや、国籍を問わず女性村民のライフヒストリーを収集し、その語りを本にまとめる活動に至った背景や目的について聞き取りを行い、住民主体による社区営造の実践の具体的なプロセスを解明する。

討論者:村井寛志(神奈川大学)

Zoomリンク:(日本マレーシア学会事務局にお問い合わせください)

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