北海道・東北地区例会のお知らせ(2/24)

下記要領で北海道・東北地区例会を開催いたします。
対面とZoomのハイブリッド形式です。ふるってご参加ください。

【開催要領】
2024年2月24日(土)14:00~17:30ごろ
開催方式:ハイブリッド
■会場:東北学院大学 土樋キャンパス 政策デザイン学科共同研究室(総合研究棟3階)
キャンパスマップ➡https://www.tohoku-gakuin.ac.jp/campusmap/tsuchitoi.html

■Zoom: お申込みいただいた方には開催日前日までにZoom情報をお送りします。

■プログラム
14:00~15:30
第1発表者:サランヤー・コンジット氏(チェンマイ大学/東北大学)
タイトル:北部タイの高等教育における日本語教育の展開―日本語能力から社会人基礎力の育成へ―
要旨:本発表は北部タイにおける日本語教育の方針の変遷について着目し日本語の言語理解を高めることを目的とする日本語能力育成の方針から、より実践的なビジネスコミュニケーション能力と日本の職業文化理解を合わせた社会人基礎力を身につける方針へと変化する大学の日本語教育について論じる。
当初日本語教育は日本人との意思疎通のために学習者に日本語の言語理解を高めることを方針としていた。第二次世界大戦の頃に始まった北部タイ・チェンマイでは日本の軍人との言語理解を目的としてタイ人への日本語教育が行われていた。続いて戦後に入って日本との国交が回復すると日系企業が再びタイに進出し、就職のための日本語能力を高める教育が行われた。チェンマイ大学では国際交流基金の専門家派遣が派遣され、日本語教育が開始された。1977年に日本語を選択科目として開講し、1979年に副専攻が設置された。そして、1987年には専攻となった。その流れの中で、北タイの日本語教育では言語理解を中心に教育が行われてきた。日本語能力が高ければ高いほどよいという教育観に基づいたものだとも言える。
その一方で、1980年以降日本のソフトパワーが普及する中で、日本文化・社会・経済・歴史といった日本事情への関心が高まり、日本研究の重要性が理解されていくことになった。それに伴って、日本語教育においても言語の背景となる日本文化・社会の教授も行われるようになっていた。バンコクでのタマサート大学では東アジア研究所が作られ、日本研究の中心となっていた。同様に、北タイでは2007年にチェンマイ大学で日本研究センターが設立され、北部タイの日本研究の拠点として活動を続けている。このように日本教育は言語理解からその文化背景の理解へと変化した。
さらに、2000年代に入ると北部タイの卒業生の中にタイや日本にある日本企業に就職する者が増えたが、その企業の中での生活の中で言語だけでは解決しない問題に直面することになっていた。日本語教育においても対応が迫られているようになっている。例えば、日本語能力が高いにも関わらず日本企業文化や日本人とのコミュニケーションのストラテジーが理解できないために苦労している卒業生も報告されている。
そこで大学教育においても日本における職業場面を想定して、社会人基礎力を身につけるような日本語教育が行われようとしている。その教育において高い日本語能力ばかりを求めるのではなく、仕事に必要な熱心さ、責任感、チームワーク、和解などといった社会人基礎力を育成することが目的としている。
そのために、これまでは日本語主専攻の学生のための日本語教育が主だったが、これからは副専攻および選択科目の学生の日本語教育を拡充し、より実践的なビジネスコミュニケーション能力と日本の職業文化理解を合わせた社会人基礎力を身につける方針へと変化することが求められる。

キーワード:北部タイ、日本語教育、社会人基礎力、日本語能力、ビジネス日本語

+++10分休憩+++

15:40~17:10
第2発表者:西田 昌之氏(東北学院大学)
タイトル:力の源としての死後世界:タイ国安南派仏教団(アンナムニカーイ)における心霊譚の活用
要旨:本発表はタイ国に二つある公式大乗仏教教団の一つであり、ベトナム仏教を起源とする安南派仏教団(アムナムニカーイ)における心霊譚の利用の仕方に注目する。安南派はラーマ四世によって庇護され、ラーマ五世によって王室公認教団となり、王室の追善供養行事(ゴンテック)を引き受けるようになった。そのために、安南派僧は死後世界とのつながりが深いとされる。歴代の僧団長たちは死後世界に関わる法力で知られ、死霊を降ろし、会話をした逸話で知られる。現在も前僧団長の即身仏が祀られている他、多くの心霊譚を持つ僧は多い。過去においてはこれらの心霊譚は、タイ国内の政治動乱やベトナム人排斥に対して安南派の地位を守るために用いられた。今日においては記念誌やTVなどの取材で語り、安南派の教えを説く方便として用いられつつも、オカルトや法力的に興味を信者たちの魅力を惹きつける要素の一つともなっている。ベトナム仏教というタイにおける異質性は、同じく異質である他界との交流の信憑性を増し、タイの人々の信仰を惹きつける力となっている。

キーワード:タイ国のベトナム仏教、アンナムニカーイ、心霊譚、追善供養、ゴンテック

【参加申込方法】
対面で参加を希望される方も、Zoomでの参加を希望される方も、下記Googleフォームからお申し込みください。
※懇親会のお申し込みの受付は2月14日までといたします。
参加応募Googleフォーム https://forms.gle/3xFjFby2qXQ8rJkTA

本例会に関するお問い合わせは佐久間までご連絡ください。
東南アジア学会 北海道・東北地区理事 佐久間香子

skyoko39[at mark]gmail.com
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