「白山人類学研究会」2023年度第2回定例研究会

下記の通り「白山人類学研究会」2023年度第2回定例研究会をおこないます。
皆様、奮ってご参加ください。
□日時 2023年5月22日(月)18:15
 東洋大学白山キャンパスでの対面とWebexを使用したオンラインと合わせてハイブリッド開催いたします。
 参加ご希望の方は以下のフォームからご登録ください。
 アクセス用のリンクについては、研究会前日までにご連絡差し上げます。
 開始の5~10分前にログインしてください。
□会場
 東洋大学白山キャンパス2号館16階スカイホール
□発表題目
 グローバル・ケア・チェーンの末端の今:インドネシア・ジョグジャカルタ特別州を事例に
□発表者
 合地幸子(東洋大学)
□要旨
 本報告は、海外移住労働者の送り出し国であるインドネシアを事例として、グローバル・ケア・チェーン(Global Care Chain)の末端の現状を検討することが目的である。グローバル・ケア・チェーンとは、アーリー・ラッセル・ホックシールド[2000]によって提唱された理論で、貧しい国・地域の女性が自分の家族を残して裕福な国・地域の家庭でケア労働に従事することを指している。そして、残された家族に対するケアは、彼女の拡大家族の無償の労働によって補完されるというものである。
これまで、多くの研究は移住労働に関する構造的な問題や労働者の人権保護などに注目してきたが、チェーンの末端で暮らす人びとに関する報告はいまだ少ない。本報告では、インドネシア・ジョグジャカルタ特別州農村部における親子の事例を取り上げる。はじめに、娘がシンガポールで家事労働者として働いているため村で独居する女性の事例を取り上げ、残された母のケアが拡大家族的な村の住民の無償労働によって補完される仕組みを提示する。その上で、それらが近年の社会変化によってどのように変化しているのかを検討する。次に、より貧しい地域からケアの担い手を探す親子の事例から、グローバルなケア・チェーンに影響を受けるインドネシア国内の現状について検討する。
以上を通して、インドネシア的な「見守り」ネットワークが縮小あるいは限定的でありチェーンの末端においてケアの担い手の変化が生じていることを明らかにする。最後に、残された家族のケアに対する今後の課題について若干の考察を加えたい。
Close Menu