第284回東南アジア考古学会例会(2月25日開催)

東南アジア考古学会では、次の通り第284回例会をオンライン(Zoom)で開催します。

皆様のご参加をお待ちしております。(要参加登録)

開催日時:2023年2月25日(土)15時-16時半

発表者:坂井隆氏(前国立台湾大学)

題目:東南アジア島嶼部の巨石文化の絶対年代と初期陶磁貿易

概要:

近年、フィリピンのルソン島南部のカマンティッで発見された蓋を伴わないくり抜き石棺群の1石棺内部から、長沙銅官窯黃釉多彩碗が発見された。これは9-10世紀という年代がはっきりした初期貿易陶磁でアジア各地に広く分布しているが、東南アジアの巨石文化との関係では明解な1例となる。

この石棺群は蓋を伴わない点から、台湾東海岸の麒麟文化石棺と類似性が高い。しかし同文化は通常、新石器時代の範疇で位置づけされている。ただルソン島の例は、一つの巨石文化伝統が明らかに9-10世紀まで存在したこと、さらにそこがアラブ・ペルシャ系商人が担い手と考えられる初期陶磁貿易の関係地だったことを意味する。一体どのような彼らにとっての貿易価値がこの地域にあったのかは、依然として理解し難い。

しかし他にも近くで初期陶磁貿易に関わるペルシャ陶器が発見されており、この石棺遺跡での長沙製品の発見は決して不自然ではない。そのため不明確なことがあまりにも多い巨石文化の年代と存続を考える上で、極めて重要な資料と言える。関連して、かつて「唐代の陶磁器」が発見されたとされるインドネシア・ジャワ島東部パカウマンの石室状遺構についても考えてみたい。

一方、最近タイ中部のパノム・スリン沈船の調査で、アラブ・ペルシャ系貿易船の内容が明らかになりつつある。カマンティッを含むフィリピン群島と初期陶磁貿易のあり方も大きな検討課題と言える。

以上の二つの視点で、この遺跡の問いかける問題を確認してみたい。

要参加登録:次のURLからお申込みください。

https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZcoduqhrzwuGdE5IOyfClC7UqmdV83bVRc5

登録後に、メールアドレス宛にミーティング情報が送信されます。大切に保存してください。

以上です。

東南アジア考古学会例会担当委員

丸井雅子、佐藤恵子、原山崇

jssaaseminar [atmark] gmail.com

http://www.jssaa.jp/

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