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事務局からのお知らせ/研究会などの案内

2009/10/24(土) 海域アジア史研究会10月例会のご案内

海域アジア史研究会10月例会のご案内


 みなさま、海域アジア史研究会10月例会についてご案内致します。
 今回の海域アジア史研究会は、科学研究費補助金(基盤研究B)
「帝国・システム・海域ネットワーク:19世紀以前のアジアにおける広域地域史の再構築」
(研究代表者:藤田加代子氏(立命館アジア太平洋大学))の研究会との共催となります。



 【海域アジア史研究会 10月例会】

 《日時》:10月24日(土) 13時30分~17時30分頃

 《場所》:大阪大学豊中キャンパス 待兼山会館 1階特別室
    (2階の会議室では別の研究会が開催されておりますのでご注意下さい)

    *大阪大学へのアクセス (http://www.osaka-u.ac.jp/jp/accessmap.html)
     豊中キャンパスの地図 (http://www.osaka-u.ac.jp/jp/annai/about/map/toyonaka.html


 《報告者・報告タイトル (五十音順・敬称略)》
    
   鈴木英明 (日本学術振興会特別研究員)
   「オマーン湾・ペルシア湾海域世界に関する現地調査報告」

   向正樹 (大阪大学文学研究科特任研究員)
   「19世紀以前の海南島における帝国支配と海域世界の交錯」


 研究会後には懇親会を予定しております。また、資料代として200円ご用意下さい。

 皆様のご参加を、お待ちしております。

 
 *なお、海域アジア史研究会では発表者を募集しております。
  興味のある方は下記の連絡先までお気軽にお問い合わせ下さい。




――――――――――――問い合わせ先――――――――――――

〒560-8532 大阪府豊中市待兼山町1-5 大阪大学文学部・文学研究科
東洋史学研究室内  冨田暁(大阪大学文学研究科博士後期課程・特任研究員)
Tel(研究室): 06-6850-6111 / Fax(研究室): 06-6850-5091 

2009/10/24(土) 関西地区十月例会詳細・十一月予告

会員各位

ご案内が遅くなってしまいましたが、10月の関西例会の詳細と、11月の予告です。
10月は、若手によるタイ・ビルマのカレン特集です。国境をはさんで、民族、文化、国境や国家について考えます。ふるってご出席ください。
来月は11月28日、海域史のテーマで飯岡直子氏、蓮田隆氏によるご発表です。両月とも、定例(第二土曜日)とは異なる日程となりました。

10月例会
日 時  2009年10月24日(土)13:30~18:15
会 場  京都大学稲盛記念会館(川端通り荒神口角)3階中会議室

13:30~14:45 (質疑応答も含む)
報告1 須永和博氏(獨協大学外国語学部)
「「学習」という実践、あるいは「アイデンティティ化」の民族誌─タイ北部山地カレン社会におけるコミュニティ・ベース・ツーリズム─」

15:00~16:15 (質疑応答も含む)
報告2 久保忠行氏(神戸大学大学院総合人間科学研究科)
「「文化」の不在:ビルマ難民(カレンニー難民)キャンプにみるNGO支援の
インパクト」

16:30~17:45 (質疑応答も含む)
報告3 池田一人氏(東京外国語大学 非常勤講師)
「ビルマ植民地期末期における仏教徒カレンの歴史叙述―『カイン王統史』と
『クゥイン御年代記』の主張と論理』―」

総合討論

【発表要旨】

須永和博氏
 国家や資本による大規模な観光開発が、自然環境やホスト社会の生活文化に大
きなインパクトを与えてきたことの反省の上にたって、地域コミュニティが主体
的に観光開発に関与していくことで、自然環境の保全とコミュニティ開発を両立
させようという、コミュニティ・ベース・エコツーリズム(CBET)やコミュニ
ティ・ベース・ツーリズム(CBT)と呼ばれる観光実践が、多くの地域で広まっ
てきている。しかし、従来的な観光研究においては、観光の受け皿としてのコ
ミュニティという概念については、なかば自明のものとして扱われ、コミュニ
ティの状況依存性や歴史性、あるいはより大きな外部システムとの節合という問
題は、等閑視されてきた。
 本発表は、以上のような反省の上にたって、タイ北部山地カレン社会を事例
に、CBTに参加する「コミュニティ」の動態に接近することを目的としている。
そのなかでは、コミュニティの成員がエコツーリズム開発に参加する過程で、外
部の行為者や言説、知識との折衝を通じて新たな社会的アイデンティティを形成
し、コミュニティ内部で新たな社会性が再構成されていく過程について明らかに
したい。

2 久保忠行氏
 本報告では、タイ・ビルマ国境の難民キャンプでの国際NGO支援のインパクト
を、支援の受け手の立場から考察する。最長で20年間にわたる難民生活をとおし
て、人々が口々に語るのは、人間関係の変化である。この変化は、「キャンプに
は文化」がないからと説明される。これを問題視する人々は、「文化」が不在だ
から、自己本位に振る舞う社会問題を生じさせているともいう。この問題は、
「標準化」「規格化」されたNGO支援と無関係ではない。
 人間関係の変化は、特にキャンプ生まれの若い世代と、それ以外の者とのフリ
クションとしてあらわれている。それらは、親子関係、教師と生徒や夫婦の関
係、態度や振る舞いの違い、老人の社会的位置づけや近所づきあいのなどにみら
れる。このような社会問題を指摘するにあたって、人々は、それを「グローバル
な文化(あるいはNGO文化)があり、私たちの文化がない」とも表現する。この
事態を受けて人々は「自助組織(CBO:CommunityBased Organization)」を結成
し、NGO主体ではなく難民主体での社会問題の解決を図ろうとしている。しかし
この営みは、基本的には問題を解決させてはいない。
 国際NGOによる「標準化」、「規格化」された支援枠組みは、却って難民の
「層」をつくる。この結果、人々に不均等な給料への不満、否定的な自己認識、
二重基準による行動といった「不平等」「不均等」な現実を突きつける。これら
は、現実的な不満だけではなく、人々にとってはないものとしての「権利」の啓
蒙を通して確認される。この意味で、脆弱性という意味での難民性は所与のもの
でもあり、かつ、つくられ内面化されるものでもある。
 CBO活動には、個々人レベルでの助け合いもみられるが、組織の活動として見
た場合、それはNGOの「模倣」である。CBO活動は、何らかの形でNGOのやり方を
土着化し、「NGO文化」でありながらもCBOの独自性を発揮するようなものとは限
らない。CBO活動は、理念としては「NGO文化」によってもたらされた「不平等」
や、個人主義化に対処するための活動と位置づけられるが、現実には、「NGO文
化」に抗するようなものとはなっていない。つまり、難民主体のCBOの存在は、
長期化した難民キャンプが自律的な社会であることの指標とは限らない。報告者
は、これを自律的な社会がないことに対する難民側の主体的な応答と捉えたい。
それは、内面化された脆弱性(難民性)への応答であり、文化の「不在」に対処
するための(唯一の?)苦肉の策なのかもしれない。

3 池田一人氏
ビルマ植民地末期に相次いで出版された初めてのカレン史テキスト3種のうち、
仏教徒著者の2書を素材とする。
キリスト教徒によるカレン「民族」の主張は植民地期にさかのぼって多数見出せ
るのに対して、同時期における仏教徒側の「民族」としての名乗りの記録はごく
僅少である。したがって両書は、後世の歴史展開の中に位置づければ、ビルマ独
立(1948年)以後急速に拡大した、ビルマ民族/国民/国家主義に対抗するエス
ノナショナルなカレン意識のうち、仏教徒の民族意識形成過程の最初期を証言す
るテキストという意義をもつ。
この点をかんがみつつも、本報告では、両書にあらわれるビルマ仏教世界におけ
る正統な民族という主張と、その主張を支える宗教や王権観念の論理の特質を明
らかにすることに力点を置く。これはやがて、1930年代にいたる19世紀からのビ
ルマ世界において、伝統的な価値や概念に近代的な「民族」がいかに接ぎ木され
たか、ビルマ語の意味世界が総体としていかに変容したかを論ずることにもつな
がろう。同時に、政治的なビルマ民族主義運動の開始(ふつう1906年のYMBA設立
に起点が置かれる)を含めた、ビルマ世界における民族事象の発生を可能にさせ
た歴史的条件の検討という意義も射程に入ってくる。
従来、おもに外来・他律的なものとして論じられてきた植民地化における「民
族」の成立過程を、現地世界の歴史的連続の上で、主体的受容過程として論じう
る可能性について指摘したい。

世話人・連絡先
片岡樹・kataoka(at)asafas.kyoto-u.ac.jp
蓮田隆 hsd(at)cseas.kyoto-u.ac.jp
速水洋子 yhayami(at)cseas.kyoto-u.ac.jp

2009/10/24(土) 関東例会:10月例会のお知らせ(10月24日開催)

東南アジア学会 会員の皆様

関東例会10月例会(10月24日開催)の案内をお送りいたします。今回は西堀由里子会員による「宗教における社会参加:ミャンマー上座仏教僧と国際NGOによる活動を事例として」、および川島緑会員の「あるフィリピン・イスラーム知識人の政治思想:アフマド・バシル著『フィリピン・イスラーム史』にみるイスラーム改革主義とナショナリズム」の2報告です。詳細は下記をご覧ください。多くの方々のご来場をお待ちしています。

<10月例会>
日時: 2009年10月24日(土)13:30~17:45
会場: 上智大学2号館5階 510会議室 
http://www.sophia.ac.jp/J/sogo.nsf/Content/campusmap_yotsuya
http://www.sophia.ac.jp/J/sogo.nsf/Content/access_yotsuya
*当日は土曜日のため、正門(真田堀グラウンド側)しか開いていません。会場の2号館は、正門から入ってすぐ左側にある17階建て高層建造物です。

☆第一報告(13時30分~15時30分)
報告者: 西堀由里子氏(東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士課程)
コメンテーター: 福武慎太郎氏(上智大学外国語学部アジア文化研究室准教授)
報告題:「宗教における社会参加:ミャンマー上座仏教僧と国際NGOによる活動を事例として」
<報告要旨>
今日、上座仏教研究において本来二義的と捉えられてきた「宗教における社会参加」「宗教における社会・福祉活動」に着目した研究がみられるようになってきた。その背景には、元来世俗との関わりを捨て、涅槃の追求を理想とする僧侶が世俗への積極的関与を行う動きが各地で見られるようになったことが影響していると考えられる。こういった僧侶については一連の「開発僧」研究の中では、開発の主導的立場として注目され、その成果ばかりがクローズアップされてきた。そこでは彼らがどのような概念を持ち、活動に取り組んでいるかということについてはほとんど分析されなかった。
そこで本報告では、僧侶らがどのような思想や理論のもとで活動を行っているのかということを明らかにすることを試みることとする。具体的には報告者が調査を行ったミャンマー北西部に位置するザガイン山において社会・福祉活動を行う一僧侶を事例として挙げる。活動の中でも特に、僧侶が運営するサンガ病院(慈善病院)に着目し、このサンガ病院に後に参画することになる国際NGOとの関係などに触れながら、僧侶が社会・福祉運動を行うということに関してどのように捉え、またどういった理論が働いているのか。そして、一つの活動を通して僧侶と国際NGOの思惑がどのように交錯するのかということを両者の視点より考察する。

 
☆第二報告(15時45分~17時45分)
報告者: 川島 緑氏(上智大学外国語学部アジア文化研究室教授)
コメンテーター: 飯塚正人(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授)
報告題: 「あるフィリピン・イスラーム知識人の政治思想:アフマド・バシル著『フィリピン・イスラーム史』にみるイスラーム改革主義とナショナリズム」
<報告要旨>
報告者がこれまで収集してきたフィリピンのイスラーム知識人の著作(アラビア語、マラナオ語、英語等の雑誌、パンフレット、単行本)にもとづいて、1930-70年代における彼らの著述活動、ミンダナオ島ラナオ地域における出版活動の全体像を明らかにし、標記著作をその中に位置付ける。著者のアフマド・バシルは、フィリピンの代表的イスラーム知識人のひとりで、著名な教育者である。バシルをとりあげ、その経歴、著作、活動を検討する。彼は、1955年にサウジ・アラビア留学から帰国し、南ラナオ州にアラビア語を授業言語とする近代的イスラーム学校を設立し、イスラーム改革運動を推進した。彼の代表的著作である「フィリピン・イスラーム史」(1964年発行、アラビア語。アラビア語専門家の協力を得て邦訳を作成し近刊予定)に焦点を当て、その内容分析を通じて、そのイスラーム改革主義とナショナリズムに留意しつつ、彼の政治思想と歴史観を検討し、その特徴を明らかにする。さらに、その後、同書の影響を受けて発行されたマラナオ語出版物の内容を検討し、彼の思想や運動が地元のイスラーム知識人や学生、住民に与えた影響を考察し、アフマド・バシルがフィリピンのイスラーム運動、政治運動において果たした役割を論じる。

以上です。 

*なお、10月例会の次は11月例会(11月21日開催)となります。案内は11月はじめにこのメーリング・リストに流します。

根本 敬 
(東南アジア学会理事・関東地区担当、上智大学外国語学部アジア文化研究室)