6月6日研究集会のオンライン開催についてのお知らせ

さきにご案内しておりました通り、高大連携歴史教育研究会との共催により、オンラインで下記研究集会を開催します。開始時間は当初の計画通り午前10時からですが、途中や終わりは変化があるかもしれませんので、あらかじめご了承ください。

参加希望者は下記のフォームから申し込んでください。
https://forms.gle/msZYqUAEm9asg7FP9
申し込まれた方には、直前にZOOMのミーディング情報をお知らせします。また資料は事前に共有できるようにする予定です。
ふるってご参加ください。

教育・社会連携担当理事 桃木至朗

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東南アジア学会研究集会「高大接続改革の中の東南アジア史」のご案内
共催:高大連携歴史教育研究会
○日時・会場
6月6日(土) 東京外国語大学府中キャンパス226大教室(
http://www.tufs.ac.jp/abouttufs/contactus/access.html
○プログラム
開会挨拶・趣旨説明 10:00~10:10 桃木至朗(大阪大学・高大連携歴史教育研究会会長)
*以下の各セッションには個別質疑の時間を含む
セッション1 東南アジア史の用語リストと解説 10:10~11:10
青山亨(東京外大)・深見純生(東南アジア史研究者)「東南アジアの歴史を教えるための用語をどう考えるか」
セッション2 高校側の実践報告 11:10~12:30
竹田和夫(新潟大非常勤講師・元高校教員)「15~17世紀東南アジアにおける金銀銅生産・流通と金属細工――
大学講義・高校授業・マレーシア高校生向け授業における実践報告--」
神奈川県社会科部会歴史分科会(澤野理、神田基成、中山拓憲)「学校ごとの東南アジア授業実践」
*昼食休憩
セッション3 総合大学の東南アジア史概論 13:30~14:15
桃木至朗(大阪大学)「大学の教養(入門)講義で東南アジア通史をどう教えるか」
セッション4 外国語・国際系大学での東南アジア史教育の取り組み 14:15~15:00
菊池陽子(東京外大)「東京外国語大学での東南アジア史教育の取り組み」
*コーヒーブレーク
(5)コメント・総合討論 15:15~16:45
コメンテーター 渡辺佳成(岡山大学)、小島孝太(愛知県立一宮高校)
(6)閉会挨拶
○事前申し込み、参加費等は不要です。
○問い合わせ先 教育・社会連携担当理事 桃木至朗(momoki(a)let.osaka-u.ac.jp)
(a)を@に代えてご送信ください。

 

○全体の趣旨
本研究集会は、高大連携による歴史教育改革について研究・提言をおこなってきた高大連携歴史教育研究会との共催により、現在の日本における教育と社会の状況に対応して、高大双方での東南アジア史教育のあり方をどう変えていくべきかを討議する目的で計画されたものである。
1990>

年代以来、高校地歴科や大学での東南アジアを扱う教育はかなり拡充されてきた。研究の進展を教育の場に活かすための、事典や概説書・研究入門などもつぎつぎ出版された。しかし学問・教育やマスコミの枠組みの古さ、社会的必要性に比べた専門家の陣容の手薄さなどにわざわいされて、「日本の自分たちに関係ないマイナー地域」という、学校や社会での東南アジア認識を根本的に変えるには至っていない。不正確な認識、不適切な教科書記述や入試問題などが後を絶たないのも事実である。このことに問題意識をいだいた会員が中心となって、東南アジア学会では過去5回にわたって、東南アジア(史)の教育における高大連携について、研究大会でパネルを開催してきた。とりわけ世界史教育にたずさわる会員のチームは、高校世界史で教えるべき用語やその表記、それらに関する解説の作成などに取り組んできた。しかしその間に、小中高校の学習指導要領改定など教育改革が進み、東南アジア(史)という内容を盛り込むべき教科・科目や入試の枠組みが大きく変わろうとしている。

 

2022年度から施行される高校の学習指導要領では、地歴科において従来の「世界史(プラス日本史か地理のどちらか)必修」に代えて、地理総合・歴史総合(各2単位)を必修科目とし、「地理探究」「日本史探究」「世界史探究」(各3単位)を選択科目とするという、全く新しい科目編成が導入される。新科目の内容は従来の「受験用B科目(4単位)」に縛られるものではないため、この改革は一面で、これまで軽視されてきた「マイナー地域」にとってチャンスに見える。しかし他面で、新課程では問いと資料にもとづく「主体的・対話的で深い学び」が要求され、入試もその成果をはかるものに転換しなければならない。東南アジア(史)について、教育や入試の現場で使える資料は豊富に用意されているだろうか。マイナー地域「も」
無視してはいけないという程度でない、普遍性を持った問いは揃えられているだろうか。これらを欠いたままでは、従来より減少した単位数のもとで、「マイナー地域」は再び埋没し忘れ去られると考えるのは、悲観的に過ぎるだろうか。そうなった場合に、大学側の地域研究系や外国語・国際系などの専攻は影響を受けないだろうか。
本研究集会はそうした認識のもと、この間に取り組みが進んでいる世界史を主題として、高校世界史、大学の教養・専門・教員養成課程などにおける東南アジア史の教えられ方に関わる実戦報告と討議をおこなおうとする。全体と

4つのセッションに分け、個別の質疑はそれぞれのセッションの中で行う、全セッション終了後にコメントと総合討論をおこなう、という構成にしたい。最初の2セッションは、東南アジア史の階層化した用語リスト・解説と高校現場での授業実践という、高校に関わるテーマを取り上げる。午後の2 セッションはこれに対して大学側に焦点を当て、総合大学の教養課程と外語大での東南アジア史の教えられ方について報告する。全体として、どの現場でも不足している
(a)東南アジア史(とその研究)の全体構図の理解、(b)個別事項に関する正確な知識、(c)
学習者の学びを活性化させる切り口や資料・問いの提示について、現状の見取り図と課題・展望が共有できれば幸いである。
○報告要旨
*セッション**1*
青山亨・深見純生「東南アジアの歴史を教えるための用語をどう考えるか」
高校世界史教育のあり方を知識詰込み型から思考力育成型へと転換する必要が長らく指摘され、その方策として歴史用語の厳選の必要が提言された。東南アジア史用語検討グループ(青山亨、深見純生、桃木至朗、八尾隆生、中村薫)では
2013年以来、高校世界史教育において必要な東南アジア関連用語の厳選とその解説の作成を進めてきた。2016年にリスト案を策定し、2019
年には用語解説の原案を公表するに至った。本報告では、その後の改訂を経た最終的な東南アジア史用語リストおよび用語解説を公開する。
*セッション**2*
竹田和夫「15~17世紀東南アジアにおける金銀銅生産・流通と金属細工――大学講義・高校授業・マレーシア高校生向け授業における実践報告--」
三種類の教育の場でアンソニー・リード『大航海時代の東南アジア』の提起を『大航海時代叢書』『バタヴィア城日誌』等で検証した。大交易時代の東南アジア・南アジアで「日本産の銀流入に加えて金銀銅の産出・流通と金属細工が存在した」ことを明らかにし、「島嶼部の胡椒・米生産や内陸部の米生産との関係」を考察した。学生自身の仮説立て・相互問いかけの過程を報告し学術研究に提言を行いたい。
神奈川県社会科部会歴史分科会(澤野理、神田基成、中山拓憲)「学校ごとの東南アジア授業実践」
生徒の学力、進路によって、東南アジア史に関しても学校ごとの授業内容が異なる現状がある。低学力校であれば、東南アジアとは何かを教えるところから授業を行う必要があり、受験進学校であれば、入試問題を分析した上で効率よく学習することが求められる。また中堅校であれば今後の歴史総合、世界史探究を見据えた「問い」と「資料」をベースに置いた授業が必要であろう。我々は、東南アジア史における学校ごとの授業実践を提示したい
*セッション**3*
桃木至朗「大学の教養(入門)講義で東南アジア通史をどう教えるか」
報告者が1980
年代から続けてきた教養課程ないし入門講義における東南アジア通史の講義をもとに、研究史と方法・理論上の特徴を含めた東南アジア史の全体構図の提示のしかたについて論じたい。言語・地域別に細分されがちで東南アジア以外の地域に対してもゲットー化しがちな東南アジア関係各専攻の学生(専門研究者を志望する者も含む)、東南アジアについて体系的に学ぶ機会をほとんどもたない他分野・学部の学生(社会科・地歴科の教員志望者の大半が含まれる)の両方に、最大限必要な構図や考え方と、今後必要になった際の調べ方などをどう教えるかは、正確な知識や資料の提供に劣らず重要で困難な課題である。
*セッション**4*
菊池陽子「東京外国語大学での東南アジア史教育の取り組み」
東京外国語大学は、2012
年にこれまでの外国語学部を改編し、言語文化学部と国際社会学部を設置したが、両学部の学生とも、これまでと同様に、各自の専攻語に所属し、言語教育と1、2
年次の地域の基礎教育は両学部共通で行っている。本学の基礎教育における東南アジア史教育の取り組み、学部ごとに行うようになった専門教育における東南アジア史教育の取り組みについて紹介する。あわせて、近年の学生動向や入試改革による影響なども紹介したい。

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