6月22日(土)関西地区例会のお知らせ

東南アジア学会関西地区6月例会の開催を以下の通りお知らせいたします。

今回は海域アジア史研究会との共催で、下記の通り開催致します。多くの方の御来場をお待ちしております。
日時:6月22日(土)14:00-17:15
会場:大阪大学豊中キャンパス文法経済学部本館2階

大会議室アクセス:http://www.let.osaka-u.ac.jp/ja/access ※豊中キャンパスマップ④の逆向き「コの字」型建物が会場のある建物です(大会議室は左上隅に位置します)。

大会議室には、③の総合図書館側の入口から入って、右手の階段をあがり、廊下を右側にお進みください。階段手前の右側の部屋が会場の大会議室です。

共催:海域アジア史研究会

第一報告(14:00-15:30)
発表者:吉川和希(日本学術振興会特別研究員)
発表題目:17~18世紀北部ベトナムの皂隷について

発表要旨:
北部ベトナムの紅河デルタにおける自律性の高い村落の存在は夙に知られてきた。その形成過程については、17~18世紀に徴税官吏との対立関係のなかで村落を結集単位として対抗したことや、人口の稠密化と耕地開発の限界を背景とした村落間の土地紛争を通して村落内部の結束を強めたことなどが指摘されている。このように政治的主体としての村落を考える際に、先行研究で詳しく検討されて来なかった問題として役隷がある。役隷は宗教施設や地方官衙を維持管理する代わりに税・役が免除されるため、村落にとって一種の権益であった。本発表では役隷の中でも祠廟や寺院を維持管理する皂隷を取り上げ、村落と中央政権や地方官との間に交わされた行政文書を分析することで、住民が村落を結集単位としてこの権益をどのように維持・拡大しようとしたかを考察する。

第二報告(15:45-17:15)
発表者:東佳史(立命館大学)
発表題目:「資本主義の周縁で」から「IoTの周縁で」―ジャカルタのベチャ曳達とプノンペン配車アプリ運転手との社会経済背景の比較分析を通して―
発表要旨:本発表では急激に変化する東南アジア都市部の交通手段の担い手達が周縁化されている動態を2つの実例から比較検証してみたい。最初に1980年代から2010年代までをジャカルタのベチャ曳き達を例にとり人力による交通手段を遅れた前近代的なものとみなす資本主義によって周縁化されてきた歴史的発展と現状を考察する。次に東南アジアで急速に普及するIoT(配車アプリ)によってタクシー運転手達が周縁化されている現状を、2018-9年にかけて行ったプノンペンで急速に普及している配車アプリ(Grab, PassUp, Itsumo等)運転手を例にとり検証する。最後に上述の2つの都市インフォーマル交通の担い手達の社会経済データの比較分析を行い、東南アジアという大雑把な枠組みの中で、対照的となる島嶼部と大陸部、大国と小国、民主主義が育つ過程にある国と民主主義がほぼ死に絶えた国という構造的な力・外部世界からの圧力の下で普通の人々が周縁化されていく現状を検証する端緒としたい。

東南アジア学会関西例会委員
小林知、伊賀司、ピヤダー・ションラオーン、西島薫、吉川和希

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