日本マレーシア学会関東地区研究会2019年度第1回研究会

本年度最初の研究会を下記の要領で実施いたします。
マレーシア学会会員以外の方も出席可能(事前登録不要)ですので、お誘い合わ
せの上、ご参集ください。

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日本マレーシア学会関東地区研究会 2019年度第1回研究会

〇スケジュール
・日時: 5月19日(日) 14:00〜17:00
・会場: 立教大学池袋キャンパス 本館1階 1103教室
http://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/qo9edr00000001gl-att/img-campusmap_ike.pdf

・テーマ: 「マレーシアとシンガポールにおける上座仏教の展開: ネットワ
ークの観点からの考察」

〇報告者
・黄蘊(尚絅大学)

〇報告要旨
東南アジアの上座仏教徒社会であるミャンマー、タイなどでは仏教が共同体的慣
行や地域文化と深く結びついている。仏教は人々の生活様式、共同体的規範であ
り、政治や社会生活全般も仏教と密接な関係を有することが観察される。一方、
マレーシアとシンガポールは上座仏教展開の新天地と位置付けられる。この二つ
の地域における上座仏教の歴史が相対的に浅く、また仏教信仰においては大乗仏
教が主流で、上座仏教信者は少数派となっている。スリランカ、ミャンマー、タ
イをもととする仏教宗派、それぞれの上座仏教施設・実践方式が競合的に共存し
ていることがマレーシアとシンガポールにおける上座仏教のあり方の特徴である。
もう一つ重要な点は、この両国において、上座仏教に関する中央集権的な管理や
統一した制度が存在しないことである。このように、上座仏教にまつわる地域的
伝統や歴史的文脈が相対的希薄という状況の中で、マレーシアとシンガポールに
おいては知識や実践としての(上座)仏教の存在が大きい。英語が主な媒介言語
であることも上記両国における上座仏教展開の重要な特徴である。なお、マレー
シアとシンガポールの上座仏教はほぼ同じ歴史的文脈の中においてその展開が遂
げられ、この両国の上座仏教僧侶、信者間の交流、連携もかなり緊密に保たれて
いる。
マレーシアとシンガポールでは、タイ、ミャンマー、スリランカのそれぞれの仏
教宗派をもととする寺院、上座仏教センターが競合的に共存している。現地人の
上座仏教僧はそれぞれの宗派のもとで受戒し、実践している。このような上座仏
教の宗派・系譜を媒介にできた国内外のネットワーク、連携は両国の上座仏教の
展開において重要な意義をもってきた。本発表は、マレーシアとシンガポールの
上座仏教寺院や上座仏教関係者と国内外のタイ、ミャンマー、スリランカ系の僧
侶・仏教関係者との交流、ネットワークの構築に注目し、それらがどのように作
用し、どう今日のマレーシアとシンガポールにおける上座仏教の展開、前進に寄
与してきたのかを考察する。

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報告90-120分、コメント30-60分ののち質疑とゆったり時間を取り、十分説明、
議論できる場です。国内外を問わず発表されたい方が居られれば、自薦でも他薦
でもご一報下さい。

Facebookでも研究会情報を発信いたします。
Facebookグループ https://www.facebook.com/groups/jamskanto/

投稿者・問い合わせ先: 福島康博(fukushima[at]aa.tufs.ac.jp)

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