第258回中部例会のご案内(9月29日)

第258回中部例会の御案内です。
今回は、京都産業大学総合学術研究所・特定課題研究との共催で、下記の要領で開催いたします。
多くの方々の御来場をお待ちしております。

中部地区担当・加納

日時:2018年9月29日(土)14:00~17:00
会場:愛知大学名古屋キャンパス(名古屋市中村区平池町4-60-6)
講義棟5階L512教室
http://www.aichi-u.ac.jp/sasashima/access.html
名古屋駅下車徒歩15分
またはあおなみ線ささしまライブ駅徒歩5分

共催:京都産業大学総合学術研究所・特定課題研究「ベトナム村落の独居高齢者をめぐる家族規範の形成と実践の複相性:文化人類学的研究」(代表者:加藤敦典)

タイトル:「ベトナムの村落地域における高齢者ケアをめぐる制度・規範・文化実践の再編成—文化人類学を中心に」

プログラム:
14:00-14:10 趣旨説明 加藤敦典(京都産業大学現代社会学部・准教授)
14:10-14:40 報告1 「ベトナムにおける高齢者の居住形態の分析—家族とケアをめぐる社会規範と文化実践の再編成」 加藤敦典(京都産業大学現代社会学部・准教授)
14:40-15:10 報告2 「ベトナムの高齢者ケア制度・政策の動向」 比留間洋一(星城大学リハビリテーション学部・准教授)
15:10-15:20 休憩
15:20-15:50 報告3 「歴史人類学から見た老親の扶養」(仮) 宮沢千尋(南山大学人文学部・教授/京都産業大学総合学術研究所・客員研究員)
15:50-16:00 コメント 岩井美佐紀(神田外語大学外国語学部・教授)
16:00-17:00 ディスカッション

要旨:
近年、ベトナムでは経済成長による人口流出などを背景に村落における高齢者ケアが問題化しつつある。これまでのベトナムの村落では、子どもが高齢者のすぐ近くに住んでケアをおこなっていたため、高齢者が完全に孤立することはなかった。しかし、近年では気軽に頼ることができる家族や親族が近くにいないケースもみられるようになっており、独居高齢者の存在も少しずつ顕在化している。
ベトナムにおける高齢者ケアのおもな担い手は家族である。ベトナムの家族については歴史学、文化人類学、家族社会学、人口学などの専門家による豊富な研究蓄積がある。しかし、これまでの議論はベトナムの家族制度の類型的な理解に焦点を当てる傾向があり、家族による高齢者ケアの動態を分析するための理論的枠組みとしては不十分であった。ベトナムの家族については、儒教的規範のもとでの長男の責任、末子相続的慣行、親族扶養における女性の責任の相対的な高さなど、相反する規範が並存しており、人びとはそれらの規範を組み合わることで状況に対応している。本シンポジウムでは「規範形成のダイナミズム」と「文化的実践の再構成と創造」という分析枠組みから地域における高齢者ケアの動態を考察する。
また、地域高齢者ケアのありかたについては、共産党の宣伝、国家の政策、国際援助団体の取り組みなども深く関与しており、それらの諸アクターが形成する言説や実践的活動についての分析も必要である。たとえば、国際援助団体のもとで展開し政府も関心を寄せる「世代間相互扶助クラブ」による地域高齢者ケア活動は注目に値する。
本シンポジウムでは、おもに文化人類学的な視点から、高齢者ケアをめぐる制度、規範、文化実践の形成と変容をめぐる分析枠組みを提示するとともに、ベトナムの歴史的・文化的なニュアンスをふまえた現状理解の手がかりを提示したい。

*中部地区では、原則としては第2土曜日に例会を開催します。
(報告者の都合や会場校の都合等により、別の日程で実施することもあります。)

報告を希望される方は、氏名・所属・発表希望月日・報告題目・報告要旨(200~400字程度)・希望使用機器を記載の上、下の問合せ先までご連絡ください。

問合せ先:加納寛(愛知大学国際コミュニケーション学部)kano@aichi-u.ac.jp

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